原則原理

さてそんな休まずトレーニングするトレーニング仙人への入り口に立った2023年ですが、最初のコラムは真面目な話から入ろうと思います。
皆さんはトレーニングの原理・原則というものは耳にしたことがあるでしょうか?
これは専門書の種類によっても呼び方が違っていたり、3原則とか5原則とか多少言い方が違ったりする場合があるのですが、私がトレーニングを習い始めたころに東海大学のトレーニングセンターに勤務されていた、体育の非常勤の先輩方から「まずは原理・原則の意味をよく理解するところから入れ」と口酸っぱく言われたものです。
これも当時は「覚えるだけやろ」ぐらいにしか思っていなかったのですが、今になって振り返ってみると、ものすごく深い話だったんじゃないかと思い返し、トレーニングだけでなくスポーツ全般に言えるコーチングの根幹のようなものではないかと考えるようになりました。
そこで今回はこのトレーニングの原理・原則のおさらいと、これをスポーツの指導にもどのように応用するべきなのか?について考えていきたいと思います。

そして次に大切なのが個別性の原則です。
どんな競技でも一般的に効果があるとされている練習方法や練習の流れ、プログラムのようなものは存在すると思います。
習得する技術も戦術も補強で取り入れられる体力トレーニングも、ある程度の練習方法は既に確立されている場合が多いと思います。しかしそれらの練習方法やプログラムが全ての人にとって100点満点の方法とは限りません。なぜならば人間はそれぞれ違った生き物だからです。同じ身長・体重・性別だったとしても全く同じプログラムをやったところで同じように上手くなるとは限りません。恐らく双子の兄弟でも差は生まれるでしょう。
そんなわけで練習方法はその選手の特性を考慮しながら個別に最適化を目指すべきです。
これは最近流行りのエビデンスベースのトレーニングにも言えることですが、既に確立された方法や、科学的根拠を元に考えられた理論があったとしても、それは紳士服売り場に並んでいる規制のサイズのスーツのようなもので、多くの人の身体に合うように作られていますがオーダーメイドのようにピッタリではありません。
個別性の原則を盛り込んだ練習づくりの難しさは、その競技のプレーヤー数が多ければ多いほど難しくなります。大人数の練習をコントロールするのはただでさえ難しいうえに個別にアレンジすれば更に管理が難しくなってしまいます。このような場合は、チーム練習とは別に個人練習や課題を克服する時間を設け、チームとしての行動や規律を遵守できる範囲で、個別に課題に取り組むことの出来るスペースを練習時間の中に確保する事が必要です。そうすることでオーダーメイドとまでは行きませんがセミオーダーぐらいのプログラムにはなるはずです。そして選手に自主性が芽生え自分自身で足りない部分を補う練習を追加して行うようになればオーダーメイドにより近付くでしょう。

このようにトレーニングの原理・原則と呼ばれてはいますが、実際のスポーツの現場を想像しても普通に日々繰り返されていることであると言えます。

日本国憲法は、1946年11月3日に公布され、1947年5月3日に施行。国のきまりの中で最も大切なもので、日本のすべての法律や決まりは、憲法に従って作られていて「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三つの原則があります。「国民主権」とは、国の政治のあり方を国民が決めること。18歳以上のすべての国民が選挙権を持っています。投票することで政治に対する意見を示すことができます。「基本的人権の尊重」とは、国民だれもが人間らしく生きる権利をもつこと。「基本的人権」は一人ひとりが生まれながらもっています。全ての人が自分らしく生きられるよう、年齢や性別、障害のあるなしに関わらず、健康で文化的なくらしを送ることができます。もう一つが「平和主義」。日本は過去に戦争をし、多くの尊い命を失いました。悲惨な戦争を二度と繰り返さないという強い決意のもとに平和主義の原則は掲げられています。

過負荷の原理と漸進性の原則、これらを合わせて漸進性過負荷とも呼びます。
先ほどの柔道の例でも述べましたが、スポーツが強くなったり上達したりする一番手っ取り早いのがこの漸進性過負荷を練習中に与え続けることです。

稲盛は講演で、経営の実態を正確に把握し、的確な経営判断を下すには、会計原則、会計処理に精通していることが大切であると述べています。

「全面性の原則」とは、身体の一部分ではなく、全身をまんべんなく鍛えることで効果がアップするというものです。身体の一か所だけを鍛えると、関節や筋肉に負担がかかり、ケガの原因になってしまいます。さらに全身の筋力バランスが崩れることで、身体が歪み、運動の効果が少なくなってしまうことも。それを防ぐためにも、身体は全体を鍛えることが重要です。

ではこのトレーニングの原理・原則というのは筋トレだけの話なのでしょうか?
私はそうではないと思っていて、スポーツ全般に共通する考え方であり、さらに言えば人間が成長するためには、どんなジャンルにおいても共通する理念だと思っています。
スポーツに例えれば
柔道を例にとると
60㎏級の選手にとっては66㎏級の選手と乱取りを繰り返すことは過負荷といえます。反復性の原則にのっとり継続して練習し、自分も強くなりますが相手も強くなるので負荷は常に漸進していきます。相手に勝つために個別に課題を抽出し、それが引手の強化だとすれば克服するために三人打ち込み等で引手を意識して取り組み、その効果は特異的に現れます。しかし引手の強化ばかり意識していたらスタミナが疎かになり延長戦でバテるようになったので、夜はランニングで持久力強化に努めパフォーマンスを全面的に鍛えようとします。全国大会が終わり1週間のオフがあったので完全に柔道から離れたら、練習を再開したときに少し引手もスタミナも低下していました。これは可逆的です。

「反復性の原則」とは、トレーニングは繰り返し、規則的に長い時間かけて行うことで、効果が高くなるというものです。「可逆性の原理」でも説明したように、短期間のトレーニングで鍛えた身体は、運動を辞めてしまうと短い時間で元に戻ってしまいます。逆に長い時間をかけてトレーニングを行った場合、筋肉や神経がゆっくりと成長、身体の中で定着するため、少しトレーニングを休んでも、なかなか元に戻ることがありません。そのためにも、トレーニングは継続して行うことが必要になります。

このように、稲盛は経営だけではなく会計においても、「従来、会計的にはこうする」という常識にとらわれることなく、何が正しいのかという原理原則に基づき、本質を考えて判断する重要性を説いています。 ぜひご覧ください。

保護を実施する際に、守られるべき原則は、申請保護、基準及び程度、必要即応、世帯単位の4つです。

「意識性の原則」とは、トレーニングを行うときには、意識をすることでさらに効果が高まるという原則です。何も考えず、言われたことをそのまま行うよりも、自分がやっているトレーニングの意味や効果、鍛えている部分などを理解することで、トレーニングの効果はさらにアップします。

ではこの原理・原則のなかで特にスポーツの指導者が日々の練習の中で意識すべき部分はどこでしょうか?
私は過負荷の原理と漸進性の原則、そして個別性の原則。この3点を特に意識して日々の練習を行って欲しいと思っています。

「個別性の原則」とは、トレーニングを行う人の体力や性別、年齢に合わせたメニューが必要という意味です。さらに同じ年齢や性別、体力の人でも、身体の筋肉バランスや身体の使い方の特徴が全く異なるもの。そのため、トレーニングのメニューははそれぞれの身体特性に合わせて決定する必要があります。

京セラでは創業の当初から、すべてのことを原理原則にしたがって判断してきました。会社の経営というものは、筋の通った、道理にあう、世間一般の道徳に反しないものでなければ決してうまくいかず、長続きしないはずです。

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